タイでは、汚職防止への関心が高まっていることから、2015年の外国投資家苦情処理センター(Complaint Center for Foreign Investors (CCFI))の設立等、様々な施策が導入・実施されています。CCFIは、タイの公共部門における透明性と公正性を促進し、タイで事業を行う外国投資家の信頼を高めるために、公共部門腐敗防止委員会(Office of Public Sector Anti-Corruption Commission (PACC))によって設立された機関です。
CCFIは長年運営されてきましたが、タイでビジネスを行っている多くの外国人投資家は、CCFIを知らないか、タイの公務員に対する申立てがビジネスや私生活に悪影響を与えるのではないかとの懸念から、CCFIの利用に消極的でした。しかし、最近になって、PACCは、CCFIにつき、外国人投資家が不当なサービスや待遇を受けたり、タイの公務員からの利益要求に直面した場合に、外国人投資家が苦情を申し立てるのに適する方法であるとして、CCFIを促進するための新たな取り組みを行っています。
CCFIに対する苦情の申し立て
CCFIは、「腐敗防止法」(B.E.2551)(2008年)の第58/2条に基づき、公共部門腐敗防止委員会(PACC)の責任を管理するために設立された機関です。同法は、PACCに対し、ライセンス促進法(Licensing Facilitation Act)を遵守していない規則又は手続きを有する州当局について、それが公共サービスに対する妨害や損害を及ぼしたり、政府のサービスに深刻な損害を与えると考えられる場合、その上部機関に通知する権限を与えています。
具体的には、法律に規定された範囲の苦情があった場合、投資家はCCFIに連絡することができ、CCFIは関係機関や政府当局に調査を依頼して対応します。機関の規則及び手続に関する苦情の場合には、関係機関の長に調査を依頼します。公的部門において違法行為が行われている場合には、PACCは閣僚会議及び国家汚職防止委員会に対し、権限に戻づいて必要な措置を講じるよう報告します。
政府機関に対するCCFIの通知については、当該機関の長が調査を進め、通知受領後60日以内に調査結果をPACCに報告しなければなりません。当該機関において改善又は是正が必
要であると判断された場合、同機関は、これらの是正措置がどのくらいかかるかについてもPACCに通知しなければなりません。
CCFIに対する苦情は、口頭又は書面で行うことができ、投資家は複数の方法を通じてCCFIに連絡することができます。
申立人がCCFIに身元を秘匿するよう求めた場合、PACCは関連情報を開示することが禁止されます。さらに、すべての申立人及びPACCに対する情報の提供者は、自己の安全のために自己の氏名又は身元の開示から保護され、公務員による不当な取扱いを防止する権利を有します。
備考:本和文は英文記事を翻訳したものです。原文については、以下のリンクをご参照ください。 Thailand Encourages Foreign Investors to Report Unfair Treatment