新型コロナウイルスの危機の際、タイ政府は企業に対し、職場での感染を防ぐために労働者に在宅勤務を許可するよう求め、その後、在宅勤務が全国の労働者の標準となりました。しかし、現在はパンデミックの異なるフェーズに入り、ほとんどの企業は在宅勤務を廃止しています。在宅勤務は過去のものになりつつあるのでしょうか。
いいえ、そんなことはありません。タイ議会は最近、現状を反映するためにタイの労働者保護法を改正する、いわゆる「在宅勤務法案」を第一読会において可決しました。法案に付随する立法覚書では、労働者保護法の改正案は、使用者と労働者のより柔軟な雇用の取り決めと解決を促進すると述べられています。興味深いことに、さらに覚書には、当該法案がバンコクなどの交通渋滞の解消とエネルギー消費の削減を目指していることも記されています。
現在の法案は、労働者保護法に「雇用者と労働者は雇用契約において、労働者が自宅または居宅で勤務することを合意できる (may agree)」という条項を一つ追加するものとしています。本条項案によれば、この在宅勤務は週8時間以上でなければならないとされており、それは従業員の通常の勤務時間として計算されることになります。
「合意してもよい」という文言は、使用者が合意する必要はないことを示唆しており、したがってこの条項を労働者保護法に追加する意味はないのではないかと考えられます。しかし、この改正の意図は、従業員が在宅勤務を希望する場合、使用者は合意しなければならないという点にあるとのことです。法案に関する公聴会では、複数の当事者が「may agree(合意してもよい)」という用語の曖昧さに対して懸念を表明しました。法案が成立した場合の最終的な文言はまだ明らかになっていません。
労働保護福祉局をはじめとする多くの関係者は、この法案がさらなる労働問題を引き起こす可能性があるとして反対しています。法案は簡潔ですが、使用者にとっては、これをどのように実行に移すかについて多くの疑問点が生じます。例えば:
- 一定の業務、例えば、建設、工場運営、清掃サービス、レストラン、接待サービス業などは例外となるか。
- 雇用者はどのようにして労働者の生産性を監督することができるか。
- 雇用者はどのように残業を監督すべきか。
- 従業員は「自宅」や「住居」の代わりにカフェから働くことができるか。
- 雇用主は、従業員が仕事をするために使用したインターネットと電気代を支払う必要があるか。
- 従業員は事務用品を持ち帰って使用することができるか。
- 雇用者はどのようにして労働安全管理を行うことができるか
などです。
この法案は、現在、議会の第2読会を通過する前の小委員会によって検討されています。多くの専門家は、同法案が上院に送付される前の第2、第3読会において激しい議論を巻き起こすと予想しています。
備考:本和文は英文記事を翻訳したものです。原文については、以下のリンクをご参照ください。 Thailand considers New Labor Law on Work-from-Home Arrangements