タイ税関は、税関登録制度および模倣品・海賊版の差止に関する税関手続を変更する通達を発出した。2022年8月4日に商標権侵害品および著作権侵害品の輸出入および通過に関する税関通達が掲載され、2022 年 7 月 29 日に発効した。 従来、税関登録を求める商標権者は、知的財産局(DIP: Department of Intellectual Property)に関連情報を登録申請する必要があったが、新しい通達の下では、商標権者だけでなく著作権者も知的財産情報を税関に直接登録することができる。 今回の通達により定められた制度および手続は以下のとおりである。 [1] 税関登録制度 商標権者または著作権者(またはその代理人)は、税関職員がタイから輸出、タイへ輸入、タイを通過する商品の真正性を確認するために必要な情報を記載した申請書を税関の取締部(Enforcement Division)に提出することができる。 申請書の情報は、受領日から 3 年間(または、商標権または著作権の保護の残存期間が3年未満の場合は当該残存期間)保管される。なお、更新は、有効期限の 30 日前までに申請することができる。 情報を変更する場合は、取締部に連絡する必要がある。 [2] 職権による差止手続 税関職員は、登録された情報に基づいて知的財産権侵害の疑いのある物品がある場合、当該物品を差止め、輸出者、輸入者またはトランジット目的の者(以下、「通過者」という。)(または代理人)並びに商標権者または著作権者に通知する。税関職員が輸出者、輸入者、または通過者(または代理人)と連絡を取ることができない場合、または3日以内に通知を受けた者から異議が申立てられない場合、差止められた物品は侵害品とみなされる。 重要な点は、輸出者、輸入者、または通過者が商品について侵害していることを認めた場合、税関職員は検査、差止または逮捕の書面を作成し、その後の措置のために訴訟部門に事件は送られることである。新しい手続では、税関職員は権利者からの確認書を必要としない。 異議を申立てるには、輸出者、輸入者、または通過者(または代理人)は、税関職員によって送付された通知を確認してから3日以内に、商品が侵害していないという証拠を添えて申立書を提出しなければならない。その後、税関職員は権利者に異議の申立てがあった旨を通知し、権利者は3日以内に検察に確認書および訴状を提出することができる。提出されない場合、差止められ商品は解放される。また、権利者は最大10日間の延長を請求することができるが、延長請求によって生じる損害に対して保証金の提供を求められる場合がある。 [3] 個別事件ごとの検査の申請 また、権利者は、自身の商標権や著作権を侵害している疑いのある物品について、税関検査を個別事件ごとに申請することができる。税関職員は、検査申請とともに提出された書類の正確性に疑いがなければ、物品を差止め、輸出者、輸入者、または通過者(または代理人)並びに申請者に通知する。通知を受けた申請者は、税関職員と調整して24時間以内に物品を検査しなければならない。そうでない場合、税関職員は差止めた物品を解放する。 検査後、税関職員は、権利者(またはその代理人)に対し、物品の解放を望まない場合は、検査から3日以内に検察に確認書と訴状を提出するよう指示する。輸出者、輸入者、または通過者は、上述したように、異議申立てをすることができる。 [4] 賠償責任 税関登録または検査申請を申請した権利者は、輸出者、輸入者または通過者(又は代理人)および税関に対し、これらの申請にしたがい税関職員により誠実に行われた検査によって生じた損害について賠償責任を負う。 [5] 重要な留意点 法律が変更され、税関登録の申請は税関で行うことが義務付けられたことから、過去に知的財産局に登録された情報は失効したとみなされる。したがって、商標権者や著作権者は、侵害品に対する水際措置を確実にするために、新しい制度に基づく税関登録を申請することを推奨する。 税関の新制度は9月16日から開始されたので、権利者は新制度の下で登録申請用必要書類を準備する必要がある。 備考:本和文は英文記事を翻訳したものです。原文については、以下のリンクをご参照ください。Thailand Issues New Rules on Customs Recordation and Seizure of Counterfeit Goods